本日は文庫版「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 case.アトラス」の感想を綴ります。
※しっかりネタバレを含むためご注意下さい
あらすじはこちら
グレイを中心とした事件に挑む
事件簿シリーズの主人公であるエルメロイⅡ世とグレイ。
彼らは、「剥離城アドラ」と「双貌塔イゼルマ」では探偵と助手、事件を外から見る第三者でした。
そして「魔眼蒐集列車」ではエルメロイⅡ世が事件の中心人物となり、第五次聖杯戦争とは異なる彼自身の戦いに身を投じる転機を迎えます。
今回はついにグレイを中心とした物語へ。
エルメロイⅡ世とグレイの出会い、そこで起きた魔眼蒐集列車を経た今なお解決していない事件に迫ります。
そして事件の解体が進むにつれて、グレイやアッド、彼女たちを生み出した故郷の真相が明らかになります。
そしてエルメロイⅡ世とグレイのやりとりが、こう…読んでて相変わらずムズムズするんですよね~(誉め言葉)
「私のことを知らない君と、会う勇気がなかった」
アトラスの契約(上)p231
自分のことを忘れているかもしれないことに怯える二人。
この言葉を師匠から聞いて泣きそうになりながら、ぽかぽかと叩くグレイ。
たまらん(語彙力DOWN)
師弟以上の関係、しかし男女の間柄ではない、友情とも愛情とも違う不思議な距離感が良いのよね。
グレイはライネスやフラット、スヴィンといったエルメロイ教室との距離もどんどん近しくなっているのがホッコリします。
年相応の女の子らしくなっていくグレイの変化もこの作品の良きですね。
「アトラスの契約」の見どころ
MELTY BLOODのラスボス「ズェピア」登場
魔術協会の三大部門のひとつ・アトラス院の院長であり、死徒。
Fate世界のズェピアといえば「Fate/Grand Order」に登場するシオン・エルトナム・ソカリスの先祖かつ養父として言及されています。
また、月姫世界では「MELTY BLOOD」にも登場しています。
残念ながら筆者はメルブラ未プレイです。
こちらのズェピアについてはwikipedia、TYPE-MOON Wikiを引用してご紹介。
ズェピア・エルトナム・オベローン
死徒二十七祖第十三位、「タタリ」「ワラキアの夜」「正体不在(アンノウン)」「偽証と証明の支配者」
シオン・エルトナム・アトラシアの祖先で、三代前のエルトナム家当主、500年前のアトラス院院長
メルブラでは死徒ズェピアは死んでおり、固有結界『タタリ』という「現象」として登場。
ワラキアでタタリと成り果てた月姫世界のズェピアに対して、
Fate世界のズェピアはどういった経緯かワラキアでタタリになることなく生きながらえ、アトラス院院長として世界を見続けています。
シオンの関係者ということでエーテライトを使ってそうな描写もありましたね。
今回はあくまで観測者という立ち位置で敵対しません。
事件の核となるのはアトラスの7大兵器の一つ「ロゴスリアクト」
性質は再演。
単なる可能性の残差。
世界の選択によってはワラキアで成り果てたであろう私と相似しながらも、決定的に異なる現象の一つ。
遥か極東の神秘にならって、タタリの夜とでも言えばいいか。アトラスの契約(上)p197-198
ズェピアはロゴスリアクトをこのように説明しています。
月姫世界とFate世界で似ているけども異なるモノに挑むわけですね。
また、FGOのイベント「オール信長総進撃 ぐだぐだファイナル本能寺2019」ではロゴスリアクト・ジェネリックが騒動の原因となっています。
こういったTYPE-MOON世界の繋がりや広がりに気が付いた時はワクワクしますね!
また他の作品を見たくなるし、既知の作品もさらに楽しめますからね!
本作ではブラックモアの名が出てきます。
鳥を使役する魔術師上がりの死徒。
またの名を黒翼公。
こちらは「Character material」で設定が公開され、PreludeⅢではメレムとの会話が描かれています。
未だ公開されてない作品のキャラクターを匂わせてくるのズルくない?
フラットとスヴィンの成長
「僕たちはもう、冠位の人形師にだって、負けるつもりはありませんから」
アトラスの契約(下)p141
このシーン、痺れました!
双貌塔イゼルマの蒼崎橙子戦を経て成長する少年二人。
ズェピアには「単体では色位には程遠い実力だが、ふたり揃うとまるで変わる。足し算や掛け算といった話ではない。在り方そのものが変異するようだ」と評されます。
天才が自身を凌駕する天才に負け、そして仲間(ライバル)と共にさらなる高みへと進む。
フラット、スヴィンとズェピアの対峙シーンは少年漫画を読んでるような感覚でしたね。
この二人の活躍はもっと見ていきたいです。
フラットはFate/strange Fakeがあるし、事件簿の続編が年末に出るので楽しみですね。
アッドの正体と円卓の騎士
アッドに封印されている聖槍ロンゴミニアド。
アーサー王の生き写しのグレイ。
当然、アーサー王に連なる円卓の騎士関連の話はいつか出てくるだろうとは思ってましたが…
今回の事件ではアッドの精神モデルとしてサー・ケイが登場します。
ケイといえば円卓の騎士の一人であり、アーサー王の義理の兄です。
これを再現するアッドの封印礼装としての核はなんとロゴスリアクト・レプリカでした。
ロゴスリアクトとアッドの性能の類似性を考えればなるほど納得です。
が…
ロゴスリアクトこんな出てきていいの!?
ブラックバレルもレプリカあるし、世界を滅ぼすアトラスの七大兵器、出回りすぎでは??
今のとこ出てる七大兵器のはブラックバレルとロゴスリアクトだけかな?
果たして全てが明らかになる日がくるのでしょうか?
そしてアトラス7大兵器はレプリカが作られる運命なのであった…
アーサー王伝説関連でいえば、マーリンが「存在感がありすぎて忘れられない最悪の魔術師」とろくでもない評価をされてたり、モルガン・ル・フェについても言及がありました。
モルガン・ル・フェはFGOではブリテンが舞台となる2部6章のタイトルとして考察されてたりします。
■■■■■・■・■■⇒モルガーン・ル・フェ
Fateの顏であるセイバー(アルトリア)が関わるアーサー王伝説がFate世界でどう展開されていくかドキドキしながら待ってます。
解説・あとがき
いつもの再現劇場が掲載されています(ライターセリフ監修済み)
参加者:きのこ、三田、成田、東出、桜井
コンマテ、人理焼却によって焚書
どうゆうことかというと「Fate世界と月姫世界は根本的な部分からいろいろ異なる」ということみたいです。
これについては各作品で提示され、カルデアエースのドラマCD、竹箒日記で言及された。
Fate世界では二十七祖は二十七祖になっていない
Fake4巻のあとがきとあわせて読むと、あちらとこちらで『何が』違っているのかの一旦が分かる
きのこ「月姫Rだとこのへんは…」☜ここ重要
コンマテをはじめ未履修のTYPE-MOON作品がまだまだあるので、こういった設定とか関連性を意識して一層楽しんでいきたいです。
おわりに
「アトラスの契約」では、グレイやアッドの真実が明らかとなり、裏ではロード・エルメロイⅡ世の敵であるハートレスが暗躍していました。
そして死徒やアトラスの七大兵器とTYPE-MOON世界の繋がりを次々と盛り込み、壮大な物語へと発展してきています。
次巻からはついに事件簿シリーズのラストエピソード「冠位決議」です。
上中下の3巻構成とボリュームもシリーズ最大。
Ⅱ世とグレイ、エルメロイ教室の物語の一つの結末を見届けたいと思います。
本記事はロード・エルメロイⅡ世の事件簿 case.アトラスの契約©三田誠・TYPE-MOONの引用を含みます。


